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zoom RSS パラグアイでも左派大統領誕生〜「解放の神学」の教え

<<   作成日時 : 2008/08/18 00:38   >>

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【<パラグアイ>新大統領就任 「貧しい人々に」と報酬寄付】------
(毎日新聞 - 08月16日 10:31)

 【メキシコ市・庭田学】南米パラグアイの新大統領に15日、元カトリック教会司教で中道左派のフェルナンド・ルゴ氏(57)が就任した。AP通信によると、同氏は大統領報酬月額約6000ドルを「私には必要ない」として、貧しい人々のために寄付することを表明した。任期は5年。

 ルゴ氏は聖職者時代、カトリック教会の左派思想とされる「解放の神学」に傾倒。就任式には、ノーネクタイで素足にサンダルばきという聖職者時代と同様のスタイルで臨んだ。演説では「社会的に正しく、飢えのないパラグアイを目指そう」と呼びかけた。

 ルゴ新大統領の誕生によって、1954〜89年の軍政時代を含む61年間続いた右派コロラド党による政権は幕を下ろした。新政権は保守から左派まで多様な政治勢力が結集。連立政権のかじ取りが新大統領の当面の課題になる。

 パラグアイは南米で唯一、台湾と外交関係があり、台湾の馬英九総統も就任式に出席。ルゴ新大統領は中国との関係強化を表明しており、今後の対台湾関係が注目されている。
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 記事によれば『南米パラグアイの新大統領に15日、元カトリック教会司教で中道左派のフェルナンド・ルゴ氏(57)が就任した。
 AP通信によると、同氏は大統領報酬月額約6000ドルを「私には必要ない」として、貧しい人々のために寄付することを表明した。任期は5年。』とある。
 
 また、『ルゴ氏は聖職者時代、カトリック教会の左派思想とされる「解放の神学」に傾倒。
 就任式には、ノーネクタイで素足にサンダルばきという聖職者時代と同様のスタイルで臨んだ。演説では「社会的に正しく、飢えのないパラグアイを目指そう」と呼びかけた。』

 『ルゴ新大統領の誕生によって、1954〜89年の軍政時代を含む61年間続いた右派コロラド党による政権は幕を下ろした。
 新政権は保守から左派まで多様な政治勢力が結集。連立政権のかじ取りが新大統領の当面の課題になる。』
 
 南米のキリスト教には「解放の神学」というマルクス・レーニン主義の考えを取り入れた理論が1960年代から提唱されている。
 
 一般的にキリスト教は政治的には右派勢力であり、歴史的にも政治権力と癒着関係にあった。
 
 特に唯物史観に立つ共産主義に対して拒絶反応を起こしてきた。

 戦後イタリアで共産党が選挙選を優位に進めた事に危機感を抱いたCIAは金をばらまき、ローマ法王を筆頭とする教会勢力に反共キャンペーンを繰り広げさせた経緯もある。

 しかし、軍事独裁政権のもと貧困にあえいでいた南米・中南米の教会は、悲惨な現実の中、「祈ることにより救われる」という伝統的な教えを拒否し、「悲惨な社会状況は変革すべきであり、その為には民衆は立ち上がるべきだ」と説いた。

 記事によればパラグアイの新大統領は元聖職者で聖職者時代には「解放の神学」の教えに感化されていたようだ。
 その為、大統領の俸給を民衆へ還元するという発想が出てきたのだろう。

 「解放の神学」は1960年代に中南米のグチエレス神父が理論化し著書にしている。
 この著書によれば、「『解放の神学』は世界を考察するだけでなく世界の変革に参加しようとする神学であり、人間の尊厳の蹂躙の抗し人民の搾取と闘い、公平な社会を建設する神学だ」と位置づけている。
 
 この箇所はマルクスが「フォイエルバッハ論」で「哲学者は世界をさまざまに解説してきただけだ。しかし、大切なのは世界を変革することだ。」とした部分から影響を受けている。
 
 更に「解放の神学」は中南米の資本主義を分析し断罪する。
 
 「資本主義は少数の国を富ませる一方で、多くの国に貧困をもたらした。中南米はこのなかで常に従属させられる立場に置かれている。強大な資本主義国、特にアメリカの支配から解放されて初めて発展が可能なのであり、資本主義国や国内の支配者と対決しない限り、現状からの脱出の道はない。
 人間があらゆる従属から解放され、自分の運命を担う事ができるようになるために新しい社会を求め、『新しい人間』を作り上げよう。」と呼びかけている。
 『新しい人間』という言葉はゲバラがよく使用していた言葉である。

 そうした上で教会の役割を次のように定義付けている。
  まず『「抑圧者が秩序を維持するため暴力を使うことは許され、非抑圧者が秩序の変革を求めて暴力に訴えるのはいけない」という考え方は正しくないとしたうえで、「資本の私的所有は人間の人間による搾取につながる。社会主義型の社会建設が必要だ」という中南米各地の司祭団の言葉を引用している。

 そして「権力者による搾取や収奪を目の当たりにして沈黙を守るのは怠惰である。教会が体制側にたつのか、反体制側にたつのかの決断を迫られ、多くのキリスト者は革命の道を選んだ」とし教会は革命の側(反体制の側)に立つべきだとしている。

 長い本を全て紹介できないが、「救済」とは何か、不正義な状況の分析、福音、ユートピアなど様々な問題に対して「解放の神学」の立場から明らかにしている。

 興味深いのは「教会と階級闘争とは相反するものか」との問いに「解放の神学」の立場からの答えとして「階級闘争は現実に存在しており、闘争に中立はありえない。階級闘争を否定する事は支配者側に与することである。」と言い切っている。

 結論では「解放の神学は、不正義の現状を廃絶し、新しい社会の建設をめざそうととするものであり、抑圧者に対する被抑圧者階級の闘いに参加する事によって実行される。
 あらゆる形の搾取からの解放、より人間的な、より尊厳ある生活の可能性、新しい生活の可能性、新しい人間の創造は、闘争を通じて達成される
」としている。

 まさしくマルクス・レーニン主義的な戦闘性をもった考えで、キリスト者の言葉とは思えないが、この「解放の神学」はグチエレス神父が初めて提唱したのではなく、それまでに沸き起こった神父たちの主張を体系づけたに過ぎないのである。

 1968年にはコロンビアで開かれた中南米司教会議は「中南米で目の当たりにする不正は、基本的人権を侵す制度化された暴力であり、キリスト者として見逃すことはできない」との声明を発表している。
 
 ラテンアメリカの住民の九割はカトリック教徒であり。世界の約四割を占めている。そのなかで「解放の神学」の急速な拡大は、カトリックの総本山であるバチカンを慌てさせた。

 そして法王庁は「解放の神学」へ攻撃を始める。

 1984年にはニカラグア・サンディニスタ政権(左翼政権)に参加していた4人の閣僚神父に対して閣僚か神父かいづれかを辞任するよう迫る。
 4人の閣僚神父は「我々は人に仕えることによって神に仕える」としていづれの地位の辞任を拒否したが、法王庁は4人の神父をイエズス会から退会させる。
 また、「解放の神学」の理論家であるブラジルのボブ神父を法王庁に喚問して査問しイエズス会から退会させた。

 更に法王庁は「マルクス主義の分析方法を採用し階級闘争の概念を受容する事はキリスト教徒の信仰を危機に陥らせる。」と非難し「階級闘争は貧困と不正を悪化させる」との声明を発表して「解放の神学」の理論を批判した。

 そしてローマ法王ヨハネ・パウロ二世が「教会指導者達は、マルクス主義路線を歩む『解放の神学』の危険なイデオロギーから貧者を守るように」とのメッセージを出し、「解放の神学」を一掃する為自らラテンアメリカ各国を歴訪する事になった。

 「解放の神学」を批判する説法をラテンアメリカ各地で行う予定であった法王は、あまりにも悲惨な状況に置かれ困窮した民衆を前に言葉を失った。
 歴訪の最終地であり、「解放の神学」の発祥地であるペルーの教会で「解放の神学」を批判するどころか腕を振り上げ「餓えた人々よ、あなたがたの日々のパンの欠乏は解決されなければならない。餓えた人々にパンが与えられるよう、あらゆる方策が講じられなければならない」と述べ、ペルー政府に対して富の公平な分配を求めたのである。

 法王の帰国後バチカンは態度を軟化させ「個々人の基本的権利や公共の利益を著しく侵す明白な専制政治を終わらせるための最終手段」と限定しながら武装闘争を容認すると同時に、「解放の神学」派の神父への処分を全て撤回した。
 
 1986年に行われた法王の南米歴訪では「解放の神学の有用性と必要性を再認識し、教会の伝統的な教義と衝突することなく発展させなければならない」との言葉で「解放の神学」を肯定的に評価する姿勢さえ見せた。

 ラテンアメリカにおいて現在進行形で左派政権が続々と誕生している背景にはこの「解放の神学」の影響が脈々と受け継がれているといえる。
 パラグアイの新大統領も聖職者時代「解放の神学」の教えに影響された事からも「解放の神学」はいまだ健在だという事が伺える。



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